輪の国なう!
シンポジウム「びわ湖サイクルツーリズムが拓く持続可能な社会~SDGsと気候危機の時代に自転車旅ができる貢献~」を開催しました

「びわこじてんしゃ2022 秋 Vol.20」より

輪の国では、メンバーがワイワイと交流しながら、各事業を進めています。「輪の国なう」では、そういったわたしたちの旬な動きをちょっと紹介します。

サイクルツーリズムは持続可能性に貢献できるか

 2月19日に開催した今回のサイクルツーリズムシンポジウムでは、「持続可能な社会を創るために、サイクルツーリズムができることは何か?」という問いに、サイクルツーリズムそのものの本質から考え直し、対話を深める場となった。
 グローバルな視点からは、国連は2017年を「開発のための持続可能な観光の国際年」と定め、観光の役割に対する認識を広めてきた。これからの観光(ツーリズム)は、経済と社会、環境での持続可能な開発に大きく貢献する可能性を秘めているという。
 それは、自然との触れ合いを通じて、資源の有効活用や気候変動・生物多様性に対する問題意識が高められ、課題の解決についても考える機会を得ることもできるとのことだ。

ツーリズムを通じてよりよい未来をつくる

 私からは「ウェルビーイング ツーリズム」の提唱。ツーリズムを通して地域社会を、よりよく循環していけるエコシステム(生態系)にしていきたい。すなわち「地域の環境を再生し、地域で豊かに人々と生き物が暮らし、地域の文化を継承していく」こと。
 サイクルツーリズムを体験することで、人と人、人と自然のつながりを感じること、文化や歴史と現在の暮らしに触れることで、日常生活では気づきにくい「生物多様性」を感じることもできる。そして、地域や社会、これからの未来のことを、訪れる人と地域の人たちと一緒に考えていきたい。
 日本は古来、自然とのつながりを大切にし、人間は自然の一部として位置付ける習慣のある国であった。これからは、経済発展による都市化で失われた「心の豊かさ」を取り戻して、環境や社会を再構築し、循環させていくことが大切と考える。
 後半のディスカッションで一致したのは、観光振興はあくまでも「手段」であり、「目的」ではない。そして、地域で観光を推進していくためには、ビジョンを描き、そこに進んでいくマネジメントが最も重要である。ガイドや宿泊施設、団体、企業、行政など地域に関わるステークホルダーが連携しながら地域のよりよい未来を創造していく工程の管理だ。

これから輪の国びわ湖が目指すもの


琵琶湖疏水の大木

 「輪の国びわ湖」としては、プラットフォームとしてそのあり方を確立し、環境配慮型のツーリズム、輪の国の原点である「環境と自転車の関係性」を見直していく。旅行者、産業、環境および地域コミュニティのニーズを満たしつつ、現在と将来にわたる経済・社会・環境への影響を十分に考慮したツーリズムを、開発から実施を重ねることで、人や地域に豊かさをもたらしていきたい。

(和ウトドア  福冨 雅之)


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