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味わい深い近江の旧街道を巡る旅 消えゆく街道「北国街道」を探して

「びわこじてんしゃ2022 秋 Vol.20」より

宿場町から旧街道の名残を追って

趣ある北国街道の街並み

 「すべての道はローマに通ず」と言いますが、江戸時代に例えるなら「すべての道は、京(都)に通ず」であり、滋賀県(近江の国)は、すべての道が結節する「道の国」でした。

 米原駅から近江鉄道サイクルトレインで2駅移動すると鳥居本駅があり、そこには、中山道63番目の宿場町・鳥居本宿が広がっています。腹痛や下痢止めで有名な赤玉神教玉本舗が有名で、北上すると、峠に抜ける中山道と北国街道に分かれています。北国街道は、近江から日本海側へと抜ける街道ですが、時代の流れとともに道路も変わり、今や消えゆく街道となっています。

往時の姿を想像しながら走る

北国街道を散策するサイクリスト

 米原駅サイクルステーション付近は、かつて琵琶湖が広がり、彦根藩の保護を受けた米原湊が栄え、入江内湖を通じて、びわ湖から京の都へと物資が搬送されていました。

 湊の繁栄により栄えた米原宿から旧国道8号線に沿って進むと天野川があります。飯村橋付近では、かつて橋がないため人足による川越がなされていました。長浜に入り、さいかちの木のある湖岸の道を進むと、長浜びわこ大仏があります。びわ湖に背を向けているのは、北国街道の旅の安全を祈願しているからだそうです。そして、ヤンマーミュージアム付近から街道の雰囲気がグッと高まります。黒壁エリアは、空き家を改装した様々な店舗があり、過去と現代の融合を楽しめます。建物にうだつがあり「うだつがあがらない」の語源も学べました。また、北国街道を行く旅人の中には、神の斎く島・竹生島の信仰に向かう人も多くいたようです。そして、その先は、七本槍で有名な酒蔵やお盆の大縁日で知られる木之本地蔵がある木之本宿へと続いています。

長浜びわこ大仏

 ビワイチも楽しいですが、消えゆく街道を探しながら、当時の風景に思いを馳せ、その痕跡を探しながら巡るサイクリングも乙なもの。旧街道のサイクリングの魅力は、時代の流れや風景の移ろいを感じることで、そこに住む人々の暮らしや文化が見えてくるところにあるのかもしれません。

(マイクリング・プロジェクト 横田 勝也)